井戸端会議の妙

『プロカウンセラーの聞く技術』という東山紘久先生の本を読み返しています。これがいいのよ。その中の「昔の主婦は聞き上手」という章から。

主婦には日常のいろいろな垢がつきます。昔はそれを洗い流すのが井戸端会議だったようです。どのような深刻な問題も水に流したら、それで解決です。日常生活の垢ですから、そんなに深刻な問題ではないのです。井戸端会議での話題の中心は、それぞれのぐちです。ぐちは、前節で述べましたように、できるだけ話してもらって、聞き上手は自分と関係づけないで地面に流してしまうのが、聞く極意です。。。。。。

ふむふむ。。。子どもの頃、我が家の前に数人のご近所さんが集まっては話すということが繰り返されていました。我が家は、この地区の一番奥で、外から見えないという利点がありました。その話は、「おばあちゃんの介護」から「犬のしつけ」「ご主人のこと」「子どものこと」…などなど、それぞれが自分の話をして、適当に相づちうって、ひと通り話したら「じゃあね」って別れていく。それが繰り返される。なんとも不思議な光景でした。「人の話は聞かなくていいの?」と疑問を抱き、でも、すっきりするお母さんたちの表情にまたまた疑問を抱き、大人の不思議な世界を垣間見ていた私です。でも、これ、まさしく井戸端会議ですよね。この章の後半に『悪口は精神の浄化作用なのです』とありました。聞かずに水に流し、掘り下げないでぐちって終わりにする。『悪口を言うからこそ、我々は悪くならないですんでいるのです』って。井戸端会議は先人の知恵ですね。

我々の職場や日常に雑談がどれほど大切か。改めて思う私です。ぐちは自分と関連づけないで引き取らないで流す。これも知恵。