またね

朝の散歩は、起きた時間によって変わります。その時間帯によっては、出会う人も変わります。

そんな中で、最近連続して会う女性がおられます。少し腰が曲がっていて歩幅も狭い。だから、会うと必ず追い抜く。ある朝、「歩くのが速いですねえ」と声をかけられました。私は決して速くはないのです。でもそう感じるその方の声には、『羨ましい』が滲んでいました。表情からも滲んでいました。どのような日々がそこにあったのでしょう…

【この世に目を向けると、悩みは増します。自分の内面を見つめると、落ち込みます。しかし、キリストを見上げると、心が平安になります】

ユダヤ人をかばって強制収容所に入れられたオランダ人クリスチャン、コーリー・テン・ブームの言葉を思い出した私は、【比較】でできているこの世に思いを馳せました。アキレス腱を切って手術した直後の私も、傷のない綺麗な足首を見ると凹みました。比較し、研鑽し、向上していくのもこの世ですが、ただ落ち込むだけは辛いなあ。なんて思いながら歩いていると、「またね」と声をかけられました。そこには、「歩くのが速いねえ」と言った方の笑顔がありました。途中で引き返したのでしょうか。再会は、穏やかな笑顔でした。笑顔はいいな。「は~い。またね」と返事ができることも嬉しいな。そんな朝のひとこま。