どちらが主人公?

それは、ほんの一瞬のことです。レジで、1200円をトレーに入れていました。でも、1170円という表示を見て、手のひらに広げていた小銭から、70円を渡そうとした時のことです。その方は、トレーをぐっと引っ張ったんです。思わず、「70円出します」と言ったのですが、その時、ふと思いました。

『聴き切る』ためには、相手を主人公として、相手の言葉が完全に落ち着くまで『待つ』ことが大切なんだ、と。聴き手のゆとりとも言えます。『目の前の人を大切にする』と言いますが、その一つが『待つ』であることを再確認した瞬間でした。

その方は、私のことを気づかって、手早く動いてくださったのかもしれません。でもね、私は「小銭を広げていたのに気がつかなかったのかな」とちょっぴり不満を感じたんです。「主人公は、買い手である私じゃないのか?」なんてことも思いました。同時に、私の日常には、次の動きを考えて、最後は相手から心が離れること、あるあるだ…などとも思いました。

「70円出します」が言えなかったら、お財布の中は小銭が増えてわちゃわちゃやな、なんて思いながら、『傾聴』の奥深さにも思いを馳せながら、相手が話し切る前に言葉を挟みがちな自分に、大切な心構えを教えてもらえたことに感謝した、日常の一コマです。