TCS(トータルカウンセリングスクール)の講師であり、カウンセラーの金藤晃一先生のご著書『つまづいたら、いつもの逆をやってみよう』の中に、「どうして私を生んだのよ」と言ってきた我が子に「愛しているからよ」と返した話が載っています。それを読んだあるお母さんが、言えないなあ…と思っていたところ、お子さんから、「どうして私を生んだのよ」と叫ばれたそうです。「えっ?!」と戸惑いつつも、「あなたを愛しているからよ!」と言ってみたら、自分の内側から、目の前の我が子への愛情や本気、覚悟などいろいろな感情がわき起こり、「愛しているからにきまっているでしょ!!」と言っていたそうです。
すごい話ですよね。「本に書いてあった通りに言っただけ」と言われましたが、いやいや、いざやろうと思うと、なかなか言えないものです。同時に、その話を伺いながら、お子さんに伝わったのは、お母さんの実体なのだと思わされました。確かに本の通りに言ったかもしれませんが、言葉には、言う人の想いが乗っていきます。目には見えないけれども、そここそが伝わる。語る人の内側から湧き出る力。実体です。
単なる操作的な言葉ではなく、実体の伴った言葉を使いたいものです。それには、「自分が」という「我」や、「こうしたいから」という「操作」ではなく、自分の軸が大切かと思います。自分の軸があるほどに、相手を大切にできると思いませんか。この「自分軸」は「自分が正しい」とは違います。それは、自分のどんな感情にも「それでいい」と言ってあげられるしなやかさなのかな。「自分軸」。それって、「実体」に繋がりそう。ちょっと考えてみたいワードです。