鈍行列車

先日、「あなたは、鈍行列車よなあ」と言われたことを、不意に思い出しました。その方は続けて言われました。「速いということは、切り捨てるということなんよ」。

鈍行列車の自分に会いたくて、次の休みの日に、鈍行列車で尾道まで旅をしました。駅に止まるたびにドアが開き、その駅の匂いや空気が車両に入ってきます。駅ごとに表情が違うこと。車窓から見える景色も、手に取れそうなほど近く、色とりどりで鮮やかなこと。人がそこに生きている、その表情まで見えそうな風景に、命の営みが詰まっていることを味わう旅でした。この感覚が「私」なのか。「小さな幸せ見つけ」が得意な自分を、まるっと肯定されたんだと感じました。

幸せは、日常の小さな出来事の中に思いがけないほど詰め込まれています。それを味わいつつ、私という命もその中で生きている。いえ、生かされている。そんな日々に、「それでいいよ」と言われた気がたことを、思い出したんです。ひたひたと喜びがわき起こる感覚を思い出しました。感謝です

「今日の私、今ここの私、それでいい、それがいい」と思いつつ、9月を迎えます。