ふいに思い出したことがあります。それは、ある男の子の事です。
彼は、外国からの転校生と仲良くなりました。でも、なかなか思うような意思の疎通ができません。言葉も風習も違うのだから…と思うのですが、ある日二人は大喧嘩をしたそうです。思わず彼は、「お前なんか嫌いだ!死んじゃえ!!」と言ってしまったそうです。その直後、自分でも自分の言葉の汚さに驚いて、私のところに飛んできました。そして、泣きながら打ち明けるんです。自分がいかに酷いことを言ったか。日本語が分からなくても、きっと、嫌な思いをさせたに違いないと、深く深く後悔していました。やがて、泣きやんだ彼は、顔をあげて言いました。「ぼく、謝ってくる」。
泣くだけ泣いて、自分の弱さや醜さを打ち明けて、受け止めて、やがて、その奥にある「もっと仲良くなりたい」という自分の気持ちに気づいて。
今思うと、これ、懺悔なんですよね。悔い改めて、立ち上がる。人は、自分の姿をそのまま受け入れた時に、次に進む方向に、自ら立ち上がっていく。そういう強い存在でもある。私の中にわきあがってきた思い出から、そんなことを思いました。
身勝手で傲慢で、儚くてもろくて、弱くて小さくて、強く愛おしい。人間万歳!