共感されてホッとして次に進む。こういうことはよく起こります。そう、『共感』は勇気を与えるのです。
何年も前のことです。妹ががんに侵されていることが分かりました。「癌」=「死」と思い込んでいた私にとってその事実は、恐怖以外のなにものでもありませんでした。がんばって踏ん張って、必死に耐えていました。そんな私に、皆さんが声をかけてくれます。「妹さんは大丈夫?」「妹さんはどうしてる?」「妹さんは・・・」「妹さんは・・・」はじめのうちは感謝していたのです。が、やがて「私という存在はどこへいったのか。透明人間になったのか・・・」という思いが沸き起こってきたのです。そんな時、「妹さんも、だけど、かごちゃん、あなたはどうなの?大丈夫?」と声をかけてくれる人がいたのです。「ああ、この人には、私が見えるのだ」とホッとして、息がつけた事を覚えています。まさに、私という存在に向けて『共感』の言葉をかけてもらったのです。これにより、私は自分の輪郭を取り戻し、生きる力をもらいました。
『共感』はどこまでも相手を中心とした感覚です。初めは相手の側に立てるけれども、徐々に自分の側に立ってしまうことはよくあることで(私は特にそう)でも、それに気づいたら、相手を中心とした心の位置に戻っていけばいいのです。そして、この相手中心の温かい思いは、やがて相手の次に向かう勇気と力になるのです。
『共感』は相手の「勇気」になるのです。