いくら待ってもカウンセリング電話がかかってこず、こちらから連絡をしたことがあります。電話の向こうの方は、くぐもった声で「今日でしたか?」。そして、「このまま話しますか?それとも日にちを改めますか?」とお尋ねしたところ、変更するとのことでその日は終わりました。
あの時、私はとても嬉しかったのです。実はこの方、以前は「人の目」が気になってしかたがない頃があったのです。ですから、「忘れる」ということは考えられないし、あの頃ならば、自分を責めて責めて責めまくったんじゃないかと思います。忘れるということは、そんな心が緩んでこられた証拠。日にちを変更したのも、自分の思いを優先できた証拠。そう思うと、なんだか嬉しくて。ほこほこしました。
人の評価を気にしたり、「ねばならない」に縛られていたりすると、「忘れる」ことも「断る」ことも大きな壁に感じます。取り返しのつかないことをした、と自分を責めて後悔ばかり。私にもそんな時期がありました。人の目・人の評価が気になってしかたなかった。だから、ちょっとした指摘にも弱くて、落ち込んで、そりゃ大変でした。たった1つのミスを、この世が終わったかのように過大に受け取っていた。だから、うまくいったら有頂天。天狗です。「私ってすごいでしょ!」って。口に出さなくても、態度が言葉がさぞ傲慢だっただろうなと思います。私の人生は私のものなのに、人の目や評価に左右されていたなんて、もったいなかったな。だからこそ、彼の「忘れた」「また今度」はしみじみと嬉しい。人の目よりも自分自身を大切に。