闇は光の始まり

友人関係で悩んで相談室へ来たAさんは教室よりも保健室にいる時間が増えていました。Bさんから疎外されているので、なんとか話し合って解決したいと涙しながら言います。聴き終えた私は、まずはAさんが自分の心を整理する方が先だと感じ、自分の気持ちを書き出してみることを提案しました。わき起こる感情に、いい悪いはない。すべてが大切なあなたの感情だからねと。

次の相談日にやってきたAさんは、開口一番こう言いました。「自分の気持ちを正直に書き出していくうちに、Bさんのことが気にならなくなってきました。気持ちを外に出すと自分を客観的に見れる。書き出すっていいですね」。『外在化』という言葉は知らないAさんですが、その効果を興奮気味に話してくれました。なんて可愛い。なんて素直な。言われたことを即実践する、その実行力、見習いたい!自分の気持ちや関係性を俯瞰する力もすばらしいなあと感心する私に、さらにAさんは言いました。「悩んだおかげで目標ができました。心理学を勉強したい。養護教諭になりたい」。悩み傷つき苦しみ、その先に希望を見つけたAさん。泣き顔は笑顔に変わりました。保健室から教室へ、自らの居場所も変わりました。

どんな気持ちであれ状況であれ、それは、その人がその人になるために用意されたかけがえのないものであるということを教えてもらいました。人生に無駄はない。どんなことも必ず良きことに変わる。闇の中から見つけた光は、この先のAさんを照らす光になることでしょう。Aさん、ありがとう。