1つだけ残すとするなら、「目」か「耳」か。数年前に問われた時には、「目」を残したいと思いました。でも、今の私は「耳」を残したい。

「目」を残したかった頃は、「美しい世界」を見ていたかったのです。自然の中には、叡智が詰まっているから。しかも、癒される。細部にわたって美しいし、その中にいると、空気も風も新鮮で、細胞の一つひとつが潤う。補い合い、助け合って、自然は出来ている。当たり前のように、自分の時に、自分の花を咲かせ、自分を生きている。そんな自然の彩りや豊かさを見ていたいと思いました。

もちろん、それは今も変わりません。それでも、今残したいのは「耳」なんです。小さな音や声の中にある、深くて豊かな世界を味わえる。虫の声、木々のこすれる音。風の音。子どもたちの声。足音を聞いて、「ああ、○○さんだ」と思う瞬間。それは、アートのような「耳」の豊かな世界です。心に届くかどうかというかすかな声。それは、自然の声かもしれないし、心の声かもしれません。芳醇な世界がそこにはあります。それに、今まで見てきた美しさは、心から消えることはないしね。

数年後には、また変化しているかもしれない。それもまた良し。あなたは、「目」か「耳」か、どちらを残したいですか?そして、それはなぜ?この問いは、あなたの世界を感じる入り口にもなりそうですね。おもしろいのは、「口」を残すという選択肢がないこと。神様は、これ以上喋らないように「口」を一つになさったらしいですよ。