前回ご紹介した『弱さのちから』(若松英輔著)から。

カウンセラーは、弱さに寄り添うのが基本の職業です。いつも感じるのは、悲しみ、苦しみ、涙するその方の奥にある「しなやかさ」です。「自己責任」という言葉が幅を利かせだした頃から、世の中が「弱さ」に厳しくなったように感じるのは、私だけではないと思います。でも、本当は、人は弱いのです。見せかけの強さを装っていも、人生に嵐が吹いた時には、案外脆かったりしませんか。人は、本来弱いのです。その弱さを言葉にし吐き出すことから、弱さの奥にあるその人ならではの宝物が見えてくる。

ー身体が弱った人たちに十分な治療が必要なように、心に見えない傷を負った人たちにもケアが必要なのは言うまでもない。だが、これまで世の中は、「弱い人」に、あまりに早急に「強く」なれと強いてきたのではなかったか。弱音を吐くことができない人たちが、どこかに追いやられているのではないだろうか。弱音を聞くと、人は自分にも弱いところがあることに気が付く。そこを直視するのが嫌で、弱音を口にする人を遠ざける。だが、そのいっぽうで、ひとたび「弱く」なってみなければ見えない世界の深みがあることを、今私たちは、日々、実感しているのではあるまいかー

氏が言われることに納得なさる方は多いはずです。コロナによって足元から揺らされている今、私たちにできることの一つに、自分の弱さと向き合い、その弱さの奥にある、「しなやかでのびやかな」自分と出会うことがあると思います。それは、次の時代を生きる確かな一歩となることは間違いありません。

よろこびが集まったよりも
悲しみが集まった方が
しあわせが近いような気がする

強いものが集まったよりも
弱いものが集まった方が
真実に近いような気がする

しあわせが集まったよりも
ふしあわせが集まった方が
愛に近いような気がする     星野富弘