奇跡

朝ドラ「おかえりモネ」の脚本は、安達奈緒子さん。なんと繊細で儚い機微を表現なさる方でしょう。色々伏線が張り巡らしてあって、その回収の仕方も優しい。姉と妹の関係性を描かれると、私と妹の関係性を思い出す。それぞれの立場で味わった東日本大震災を描くと、自分と震災の係わりを思い出す。

阪神淡路の震災は、岡山では震度4。突き上げられるような揺れで目が覚めました。その頃勤務していた小学校の学区には団地があり、被災した転校生が何人も来ました。空き教室に、制服や学用品やらが集まりました。その前で、「習字道具は?」と聞いたら、「家の下」と答えたA君。春休みに、ボランティアに行って感じた焼け野原の痛み。

東日本大震災では、あるご縁をいただき、半年後から、折に触れ、仙台空港がある岩沼市に通いました。そこで見て、感じたことをもとに、6年生の子どもたちと繰り返し話し合いました。そんなある日、台風で川が氾濫し、スポ少の道具が入れてある倉庫が被害にあいました。ふっと「震災って、こんなもんじゃなかったんだろうな」とつぶやいた男の子の表情。

西日本豪雨では、元同僚や友人たちは、雨の中、学区の子どもたちの安否を尋ね歩きました。

今日生きていることは奇跡なんだ、と改めて思います。まさに、今日一日の命は頂きもので、「今ここ」しかない。明日が来ることが当たり前だと思っているけれども、コロナだっていつ襲ってくるか分からない。だからこそ、約束した日に、再び会えることは奇跡で、その中で、心を通い合わせることができるなんて、本当に素晴らしい。

久しぶりに見る朝ドラから、命の美しさを教えられています。「普通に笑おうよ」。そんなセリフもいいな。それにしても美しい映像です。自然は、人を癒します。感動できることも幸せですね。泣いて笑って、怒って生きましょう。