ありがとう

ありがとうを言えるようにしよう。そんなふうに、自分に言い聞かせることがあります。実は私は、伝えたいことを先に言いがちな傾向があるのです。後であわてて、「ありがとう」をつけ足しては、そんな自分に「またやっちゃった。ダメだな」と思いがちなんです。

ある方が、「自分に『ありがとう』って言うことにした」と仰いました。同じ日、別の方にも同じことを言われて、«これは偶然ではない。私にもやりなさいっていうことだな»と、さっそく、その夜から始めました。「としえちゃん、ありがとう」「としえちゃん、ありがとう」。気がつくと、内側から温かいものがあふれ出て、涙がこぼれていました。

今日もいろいろなことがあった。その一つひとつにひた向きに取り組んだ。健気にがんばった。我慢した。人に笑顔を向けた。一歩踏み出した。そんな自分への「ありがとう」。見たくもない嫌な自分に気がついた。逃げたかった。「これも私」と受け止めたかった。そう思った。そんな自分に「ありがとう」。

人にありがとうを言うように躾けられますが、自分にありがとうを言うなんて、思いもよらない事でした。でも、確かに、私は今日も、精一杯生きたんです。与えられた場所で、与えられた事を、与えられたこの命で、泣いたり笑ったり怒ったりしながら、精一杯過ごしたんです。なんて素晴らしいことなんでしょう。だから自分に「ありがとう」。何もなくても「ありがとう」。

「ありがとう」は、心を溶かすお日さまみたい。ふんわりとあったかい。甘くてやわらかい。ぜひ、やってみてください。始めは照れくさいかもしれません。そんなこと、やったことないよ~なんて、こっぱずかしくなるかもしれません。でもね、あったまります。ハマります。お試しあれ。